自分自身の出産を経験してから、産婦人科で働いてみたいと思った!
けど、どんな人が向いてるんだろう。どういう技術が必要なのかな?
赤ちゃんも好きだし、生まれる瞬間に立ち会える産婦人科にとってもあこがれるんだけど、新卒でも採用してもらえるのかな。具体的にどんな仕事するんだろう。
今回の記事では、そんな方々に向けて、元産婦人科助産師のなみあんが産婦人科業務について徹底解説していきます!
ちなみになみあんはこんな人↓
・その後保健師に転職。
・ライフスタイルが目まぐるしく変わる20、30代の医療職で働く女性が自分に合った働き方を見つけ、幸せをつかむためのお手伝いをするため発信中!
ちなみに、私が「産婦人科を辞めた理由」についてのお話はこちらの記事で話しています。こちらも今回のと合わせてキャリアプランの参考にしてもらえると嬉しいです。
以下のような方は、是非最後まで読んでみてくださいね。
これを読めば産婦人科の仕事についての全てがわかる!
実際に経験したことを交えながらお話ししていきます。
産婦人科で働くために必要な資格はある?
・分娩介助に携わりたい場合は、助産師資格が必要。
産婦人科で働くために必要な資格はありませんが、最近は総合病院など大きい病院では、スタッフを助産師のみにするところも増えてきているので、「絶対産婦人科!」と考えるならば助産師の資格をとることも検討した方がいいかもしれません。
民間の病院だと求人も経験を問うところもありますが、未経験OKのところも多いです。しかし、助産師の場合は、規模の小さい病院だと分娩介助が自立していないと就職は難しいことが多いです(分娩介助を指導するスタッフの人手が不足しているため)。
産婦人科看護師助産師の仕事
産婦人科の仕事内容について、1日のスケジュールの流れに沿ってご紹介します。
私は産科病棟のある総合病院で働いていたので、その時の日勤のスケジュールをお伝えしますね。
■08:00 情報収集
カルテから担当患者の情報収集。前日にオペや分娩後の患者、新規の入院患者を中心に情報収集をおこなう。
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■8:15 申し送り
全体の申し送り後、夜勤からの申し送り、日勤ペアと情報共有。
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■8:30 ラウンド
母子のバイタル測定、NST、医師の処置介助。
オペの患者さんがいれば、オペ出し。
児へのミルク授乳や沐浴。
担当に妊娠糖尿病患者がいた場合は血糖測定やインスリン注射介助、補食の提供。
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■11:30~13:30 ペアと交代で昼休憩。
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■13:30 カンファレンス
勤務中のスタッフ全員で、以前の分娩の振り返りやインシデントの情報共有等行います。
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■14:00 入院受け、午後のラウンド
母子のバイタル測定、NST(ノンストレステスト)、ドップラー
出産後の患者に対しての退院指導や育児指導、沐浴指導。
安静度が高い患者へのシャワー室案内、洗髪、体拭きや足浴。
入院患者へのオリエンテーション、オペ迎え、自分の受け持ち患者への指導(分娩教育等)
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■15:00 分娩介助
分娩室準備、分娩監視モニター装着やルート確保、インファントの準備等、分娩に向けた準備を行う。
(助産師)分娩進行中は、分娩監視装置や患者の様子、内診結果を考慮し、分娩診断をおこない、医師へ報告。
分娩終了後は分娩後の産婦の健康観察、分娩室の片づけ、お部屋への移送。
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■16:30 記録・申し送り
分娩後やオペ後等動きがあった患者を中心に次のスタッフへ申し送りを行う。
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■17:00 退勤
他にも外来担当スタッフになると、出産前後の母子の検診介助や診察介助、母親学級の運営もあります。
婦人科では、対象となる年齢が幅広いため、女性特有の疾患の治療の他、不妊治療の処置介助。手術や入院を扱う病院であれば、中絶や不妊手術、その他手術前後の看護や抗がん剤治療など化学療法を受けている患者のケア等もあります。
産婦人科看護師助産師の給料
ざっくりですが、私の給料は以下のような感じでした。
・民間病院で日勤のみ勤務(オンコールあり)で平均月20万
特に給料は他科と変わりありませんが、私は助産師で働いていたので資格手当(月+1万円程度)がありました。大きい総合病院では付与されることが多いので求人を探す際はチェックしましょう。
一般的な給料はこちらが参考になりました。
産婦人科って働きやすいの?
正直働きやすいかと言われるとあまり働きやすいとは言えないと思います。それは産婦人科には以下の他の課にはない特徴があるからです。
・分娩を扱っている病院はオンコールが多いため、体調管理が難しい。
・分娩は正常な経過の一つなので、常に急変がつきもの。
・産科の入院患者は、20~40代の女性が多く基本的に自立している人が多いため、スタッフの対応に対する評価が厳しい。
・流産や死産、婦人科疾患の患者の悲しみを思いやりながら、別の場所では出産という命の誕生に立ち会うので、自分自身の気持ちのコントロールが難しい。
・助産師は分娩の診断をおこなうため、基本的に物事をずばずば言うきつめの性格が多い。
・男性看護師が居ないので女性の職場の雰囲気が強い。
オンコールがある場合は、例えば、日勤終了→オンコール待機(夜中お産があり呼ばれる)→次の日日勤、ということもざらにあるので、この仕事にやりがいをしっかり持っていないと体調管理が難しいです。
ただ、最近は総合病院など大きな病院ではスタッフの人数が確保されているのでオンコールの制度を取り入れていない(急患が来ても夜勤だけで回す)ところも増えてきました。
そして、妊娠中から分娩へ向かうのは正常な経過なので、産科は常に急変と隣り合わせです。そのためタイムスケジュール通りにいくことはほとんどありません。
また、患者は自分たちと同世代が多く、自立している人がほとんどなのに妊娠中の経過の異常で長期入院を余儀なくされ、ストレスをためている方も多いです。特に産婦人科は特殊な場所で、一方では生命の誕生に喜び、一方では病気や死産流産の悲しみにあふれている人が同じ空間にいます。自分の気持ちのコントロールをおこないつつも、どれだけ忙しくても言動や対応には十分な配慮が必要です。
産婦人科は男性看護師が一人もいない女の職場で、かつ助産師が多い特殊な環境です。助産師は時には2.3人の分娩を一人で同時に見る必要もあり、分娩進行を観察しながら自分で分娩進行を判断し、医師に報告、対応を検討していきます。さっきまで穏やかだった産婦さんが急に産気づくことも日常茶飯事です。常にそんな環境で働いているので、比較的物事をずばっと言うはっきりとした性格の方が多いです。そのため人によってはその環境が息苦しく感じる方もいるかと思います。
産婦人科で働いていて良かったこと
マイナスな話ばかり続いてしまったので、次は実際産婦人科で働いていて良かったことについてお話ししますね。
・妊娠初期から産後まで長いスパンで患者と携わることが出来る。
・新生児室での赤ちゃんのお世話が癒し。
・身近な友人や家族の相談に乗ることができる。
産婦人科の業務は、精神的、肉体的にきつくはありますが、人間の生命の誕生に立ち会える仕事は、この産婦人科の仕事だけです!これは本当にかけがえがない経験です。それは、辞めた今でも思います。特に助産師は、生まれた赤ちゃんをお母さんよりも先に初めて抱っこをします。こんな贅沢な資格はないですよね。
また、外来と病棟どちらも勤務している場合は、妊娠初期から分娩、産後まで継続して関わることもできます。1人の女性が母親として成長していくのを長いスパンで支援しつつ見守っていけるのは関係を築くことも出来、よかったなと思います。
ちなみに、個人的には、疲れ切った時に新生児室の赤ちゃんにミルク授乳をさせている時が1番の癒しでした。
そして、病院内だけでなく、病院外でも友人や家族からの妊娠出産の相談を受け、職場での経験を生かすことができます。特に妊娠出産はデリケートな話でもあるので、とても感謝されます。「今までやってきてて良かったな」と思いました。
産婦人科に向いている人
今までの話を踏まえて、私が思う産婦人科に向いている人はこんな感じ!
・チームで一つのことに取り組むことが好きな人。
・誰に対しても自分の意見を主張できる人。
前述しましたが、妊娠中から分娩へ向かうのは正常な経過ですので、産婦人科は常にリスケの繰り返しです。「外来の方が破水しました」「明日帝王切開予定の方が急に陣痛発来してしまいました」、、など予想外のことにも動じず黙々と対応できるタイプの方はあっていると思います。
また、これはどの分野でもそうですが、分娩や急変時は1人で全部対応することは出来ません。医師・看護師・助産師全てのスタッフで声を掛け合いながら対応していきます。どれだけ疲れていても、みんなでやり切った達成感の方が勝るタイプがこの仕事にはあっていると思います。
私はどっちかというとスケジュール通りに物事を進めることにやりがいを感じるタイプで、かつ繊細さん気質なので相手の顔を伺いやすかったので、合っていなかったのかなと思います。私が辞めた理由についてはこちらの記事に詳しく記載しています。
産婦人科でよくみる疾患
産婦人科に就職するにあたり、知っておくべき疾患はこちら!
実際に私が働いていてケアを行ったことのある疾患をあげてみました。
妊娠悪阻、絨毛膜下血腫、流産、死産、切迫流産、切迫早産、前置胎盤、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、合併妊娠(てんかん、精神疾患、甲状腺機能亢進症など)、双胎間輸血症候群、常位胎盤早期剥離、胎児発育不全、帝王切開後の合併症(弛緩出血、D I Cなど)
〈婦人科〉
子宮筋腫、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣、卵巣機能不全、月経異常、月経前症候群、子宮癌、卵巣腫瘍、術後合併症
それぞれの病態、治療法、看護をおさえてから仕事に臨むことで、机上の勉強と臨床がつながり、理解しやすいと思います。
ただ、、正常の妊娠、分娩、産後の経過を理解していなくては、正常か異常かの判断ができないので、まずは「正常の妊娠、分娩、産後の経過とそれに応じた看護」を押さえましょう。また、産後は母親に対する指導もあるので、育児技術についても押さえておく必要があります。
押さえておくべき看護技術
私が産婦人科で実際におこなったことがある看護技術を紹介します。
自立した患者が多いので、排泄援助や活動援助の機会は他の科に比べて少なく、術後前後の管理がメインになるかと思います。
産婦人科ならではなのは、胎児心拍モニターの装着、観察やドップラー操作です。特に胎児心拍モニターは、妊娠中はNST(ノンストレステスト)として、分娩進行中は胎児心拍監視装置として、頻繁に使用します。
まとめ
今回は産婦人科業務について私の経験をもとにお話ししてきました!
✔︎産婦人科で働くために特別な資格は必要なし!ただ分娩に携わりたかったり、絶対産婦人科で働きたい場合は助産師の資格を取ることを検討してもいいかも。
✔︎産婦人科看護師助産師の給料は他科とそこまで差異はない。ただ助産師の場合は資格手当がつく職場もある。
✔︎産婦人科は、オンコール対応で精神的肉体的負担も大きく、スタッフが完全に女性のみの特殊な職場で、ケアする患者も自分と同世代の比較的自立した方が多く評価が厳しいので精神的タフさが必要。
✔︎産婦人科は常に急変と隣り合わせなので、臨機応変な対応が得意な人が向いている。
✔︎産婦人科で勤務するにあたり、まずは正常な妊娠、分娩、産後の経過を理解することが大切。
産婦人科は生命の誕生に立ち会える唯一の職場です。大変ですが、その分やりがいのある仕事でもあります。今後のキャリアに悩んでいる皆さんが自分の生き方にあった働き方を選べることを願っています。
私は産婦人科で3年半勤務して辞めて今は、保健師という別の仕事についています。病院以外への就職も検討している方はぜひ以下の記事も読んでみてください。
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